大野を舞台にした時代小説「佐治与九郎覚え書」(井上靖著)の存在もその大まかなあらすじも知っていた。しかし、その本の入手は、極めて困難を要した。
どこの本屋にも売っていない。出版社に問い合わせたら絶版とのこと。何件か古本屋を回ったが見当たらない。ネットで検索しても、短編集の中の一つらしく、その題名はヒットしない。
ええい!こうなったら、遠いけど東京神田の古本街に行って探しまくろうと悲壮な決意をした頃、ある老人に「ああ、わし、その文庫本もっとる。」「えっ!貸してもらえませんか?」「皆に読んでもらおうと思って、大野コミュニティの事務局に置いてある。」
なんと捜し求めていたものは、目と鼻の先にあった。
さっそく、了解を得て、事務局の書棚の中を捜す。ない。いくら捜しても見当たらない。誰かが借りていったのだろうか?あきらめて立ち上がった瞬間、書棚の上に埃のかぶった一冊の文庫本が目にはいった。あった!とうとう見つかった!

おそらく、誰も読んでないだろう。いや、ここにあること自体知らないだろう。自分は老人の「皆に読んでもらいたい」という志を受け継ぐべく、このブログに「佐治与九郎覚え書」の全文を記そうと思う。
大野の小大名「佐治与九郎」に嫁いだ、お市の方の娘「お江」。その後、色んな不幸を乗り越え、秀忠の妻・家光の母になるという話。
今年のNHK大河ドラマ「風林火山」の原作者はこの「佐治与九郎覚え書」を書いた井上靖。
いつか大野町が大河ドラマの舞台に…なんて淡い夢も持ちつつ。